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観測史上最大に迫るエルニーニョ現象
2018年2月16日掲載
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GCOM-W1/AMSR2
海面水温

2015年のエルニーニョ現象は、1950年以降の観測史上最大だった1997/98年のエルニーニョに迫る勢いでした。2015年11月10日の気象庁の発表では、10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は+2.7℃で、1997年に次いで、2番目に大きい値を記録しました。

エルニーニョとは、赤道の貿易風が弱まることで、通常低い中・東部赤道太平洋の海面水温が上昇する現象を指します。エルニーニョやその逆の現象であるラニーニャは海上で発生する現象ですが、衛星によって、その発生から消滅までの様子をはっきり捉えることができます。とくに、マイクロ波放射計は、雲を透過してその下の海面の温度を観測することが可能であるため、大規模な対流システムが発達する熱帯海域でも頻度高く観測をすることができます。図1は、JAXAが打ち上げた水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)に搭載の高性能マイクロ波放射計2(AMSR2)が観測した、2015年11月21日~25日のインド洋から太平洋にかけての熱帯海域の海面水温です。図中の□の領域は、エルニーニョに関連する監視海域を示しています。これだけでは、水温が高いのかどうかよくわかりませんが、図2に同じ期間について平年値からの差(偏差)を示します。水色~緑色がほぼ平年の状態で、赤色は水温が平年よりも高い状態、青色は低い状態を示しています。この図から、中・東部赤道太平洋の広範囲に渡って、平年よりも3℃近く水温が高いことがわかります。エルニーニョ監視海域であるNINO.3の平均海面水温偏差の変化を、2002年から現在まで表示したのが図3です。



図1 GCOM-W/AMSR2による、2015年11月21~25日の熱帯インド洋~太平洋の海面水温分布。
 



図2 図1と同様。ただし、気象庁の平年値からの偏差。
 



図3 2002年6月~2015年11月の期間のエルニーニョ監視海域(NINO.3)の平均水温の平年からの偏差の時間変動。
 

さて、エルニーニョによって海面の温度分布が変わった結果、熱帯において強い対流の発生場所が変わり、大気の循環場や雨の分布も変わってしまいます。図4は、2014年2月打上げの日米共同ミッションである全球降水観測(GPM)主衛星搭載の二周波降水レーダ(DPR)による、図1と同じ領域の、2015年10月1日~11月28日の積算地表面降水量分布です。図1で水温の高い領域に対応して、雨が多く降っていることがわかります。一方、図5は、2015年と2014年の同じ期間で差をとった結果です。赤色が2014年に比べて2015年に雨が多く降っている地域、青色が逆に雨が少ない地域です。2015年に中東部赤道太平洋で強いエルニーニョに対応して雨が増加している領域が広がっている一方で、インドネシア付近などの海洋大陸で、雨が非常に減っていることがわかります。このような大気と海洋の変化が、異常気象の原因ともなるのですが、実際に、2015年7月以降はインドネシアにおいて、エルニーニョによって雨季の開始が遅れ干ばつとなったために、野焼きによる火が雨で鎮火せず、過去最大とも言われる深刻な森林火災が続きました。通常エルニーニョは、北半球の冬季に最も強くなる場合が多く、今後も継続的な監視が必要です。




図4 GPM主衛星DPRによる、2015年10月1日~11月28日の積算地表面降水量分布。
 



図5 図4から、2014年の同期間の積算降水量を引いた偏差。

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